BESV JR1 の改装等
             ・タイヤとハンドルの換装
             サスペンションステム
             ・サイコン支持具(ホルダー)の破損と修理
             ・ダウンチューブ下にツールボックス
             ・バッテリー収納部の上蓋のピン脱落と修理
    
○タイヤとハンドルの換装

電動アシストについては一旦考えないで、ロードバイクとしてその他を見ると、まず新105の油圧ディスクブレーキは非常に制動能力が高く、ジワジワとブレーキをかけることも可能です。またレバーの操作が軽く、ドロップハンドルが初めての人や手が小さい人でも違和感が少ないと思います。

しかし車体はフレームとフォークがアルミなので、乗り心地は決して良くありません。ロードバイクではエントリークラスでもカーボン・フォークなので、このフレームでは主に手に来る振動が大きく感じます。そこでこれを軽減するために次のような改善を行いました。

→ タイヤを25Cから28Cに替える。
オリジナルのタイヤは25Cですが、これを28Cタイヤに換装しました。できればより太いタイヤにしたかったのですが、メーカー側の説明ではこれが限界とのことでした。
(この後試しに32Cを履いてみた所、前輪のクリアランスが約3mmぐらいあるので何とかなることが分かりました)

装着したタイヤにはグラベルロード用として耐パンク性能などに定評がある、パナレーサー・グラベルキング 28C を使いました。しかしこのタイヤは非常に硬く、おまけに JR1 のホイールはセミディープリムなので、手はもちろんタイヤレバーを使ってもなかなか嵌りません。そこで「奥の手」としてタイヤペンチを購入してやっとホイールにはめ込みました(硬そうな他のパナ・パセラブラックなどはスンナリ嵌りましたので、このタイヤの硬さは別格のようです!)。

タイヤの交換では、前輪はノーマルバイクと同じようにスルーアクスルを抜いて簡単に作業ができますが、後輪はモーター内蔵ハブのため、車軸の固定がママチャリなどの一般車と同じようにナットを外す構造です。後輪を外すには、まずチェーンステイに沿って配線されているモーター配線コードのコネクタを外します。これはオリジナルの状態では油圧ブレーキチューブと共にタイで固定されているので、後でこれを脱着可能なタイに交換しておきます。
 
後輪の脱着 まずモーター配線コネクタを外す      後輪は一般車と同じ様にナットで固定  
このナットは#15の大きさで、ペダルの取付けサイズと同じ大きさになります。従って#15のスパナはパンク対応の必須工具となります。ナットを緩め、ディスクに注意しながら車軸を抜きますが、後輪はモーターが重いのでノーマルバイクの場合に比べ注意が必要です。

装着では車軸の2枚のワッシャー位置に注意して、かつディスクが他の部分に触らないように入れるのですが、重量があるので、ノーマルバイクのようにバイクハンガーに掛けたままではかなり時間がかかります。面倒でも(初心者向けホイール脱着方法のように)バイクをひっくり返して入れる方が早いと思います。

車軸を固定したらモーター配線コネクタを確実に押し込んで、コネクタ部分が緩まないように(もちろん取り外し可能な)タイでチェーンステイに固定します。このコネクタはピンの接触だけで接続する一般品ですが、振動を考えてコネクタとプラグがねじ込みなどで機械的に接続される部品を採用した方が良いのでは、と思います。

なおこの換装でスプロケの歯数を確認したところ 11T〜32T でした。そこで手持ちの11T〜28T のスプロケに交換しようとしましたが、モーターが軸上にあるのでその脱着方法が分かりません。メーカーに問い合わせたところ、「スプロケの歯数は全体設計性能に含まれるため、その変更は製品保障の対象外になる」とのことでしたので、断念せざるを得ませんでした。

→ ハンドルをカーボン製ハンドルに換装
オリジナルのハンドル(前)と換装したカーボンハンドル(後)
長い距離を走る場合やダートを走る場合には、手に来る振動・衝撃が疲労や肩・首への痛みに直結するため、ハンドルは非常に大事な部分なのでいろいろな工夫をしています。

オリジナルのハンドルは、幅が380mmとやや狭いコンパクトタイプのアルミ製ハンドルですが、これを400mm幅のカーボン製ハンドルに換装しました。

換装作業自体は特に難しくは無いのですが、JR1 に特有なモード切替SWが下ハンの上にあるため、バーテープを巻く時には一旦 STI まで巻き、モード切替SWを先に取り付けてからそのコードを含め残りを巻く、という手順になります。
このモード切替スイッチは実際の操作を非常に良く考えられて取り付けられており、ブラケットを握ったフツーの状態でSTIに添える薬指や小指によりスイッチオンがスムースにできます。

以上の換装の他にオリジナルのサドルも少し固く感じたので、別のバイクに使用していた厚めのサドルに替えました。
これにより荒れた路面からの衝撃や振動はかなり軽減され、腕、肩の疲労感が少なくなり、乗り心地はかなり改善されました。

→ ブレーキレバーの調整
乗り心地に関係ありませんが、ブレーキレバーの「握りしろ(リーチ)」や「ストローク」は必ず自分に合わせた調整が必要です。JR1 のブレーキレバーはR7000シリーズのST-R7020ですが、油圧ブレーキのためリムブレーキのようにカスタマイズする方法が分かりませんでした。

そこでメーカーに聞いたりwebで調べた結果、このST-R7020は「ストローク」の調整ができないモデルであることが分かりました。つまりストローク=引き幅は一定で変えられないという事です(アルテグラ、R-8020はフリーストロークで調整できる)。リーチはSTIの外側から見える2.5Φのボルトを回すことで段階的にレバー位置を4段階程度に変えられます。

                                               TOPに戻る


〇サスペンションステム

タイヤを太く、かつ空気圧を低くすることで、手から肩に受ける衝撃はだいぶ改善されましたが、古希を過ぎたあたりから肩の痛みが慢性的になりライドの後の疲労感がかなりなものになってきました。

そこで以前から気になっていた「サスペンション・ステム」を試してみることにしました。サスペンションステムとしては RedShift ShockStop が有名ですが、最近日本で発売が開始された「キネクト・サスペンションステム」を購入してみました。

この製品は当初クラウドファンディングで商品化されましたが、今年の6月になってようやく日本でも入手ができるようになったモノです。価格は20K程度と決して安くありませんが、キヨブタ(清水の舞台から飛び降りる、の若者用語?)でエイヤ!と買ってしまいました。

ShockStop との違いはスプリングをモロにステム内に挿入している点で、そのため重量はShockStopに比べ約100g重い470gとかなり重くなっています。このスプリングには3種類のモノが用意されており、説明書に従ってオンロードが多い場合に推奨される一番柔らかいスプリングをセットしました。

今までのステムと交換すると、かなり目立つようなズッシリ感がありハンドル回りはあまりスマートには見えません。カンジンなハンドルの衝撃吸収ですが、まずそのままハンドルを押し下げてみると前サスMTBのようにハンドルが沈みますが、このストロークは最大2cmになっているようです。
 
キネクト サスペンションステム 90mm 8°
実際に歩道縁の段差を乗り越えて見るとその効果を感じることはできますが、荒れた舗装路や砂利道ではあまり変わったようには感じられず、果たして20Kを投資した効果があるかどうかは正直分かりません。

これは前輪のタイヤが32Cで空気圧を4.5ataとしているので、そもそも衝撃吸収がすでに十分あるのでその効果が分かりずらい(ひょっとして必要ない!)のかもしれない、あるいは前サスのMTBと同じように慣れてしまうとその感覚が当たり前になってしまうので、とも考えています。
                                               TOPに戻る


〇サイコン支持具(ホルダー)の破損と修理

JR1のサイコンはハンドル中央の左右に取付けた2つのホルダーで固定されていますが、ハンドルの換装などでこれを外し再度取付ける時に、注意をしないとホルダー先端のサイコン固定ネジを入れる部分がもげてしまうことがあります。

サイコンのホルダー                     ホルダー先端がもげてしまった
これはホルダーが別々に取り付けられるために、その位置がズレているとサイコン取付ネジの位置にねじれが加わり、走行時の振動などでこの部分に力がかかるためですが、このネジを挿入する部分が意外とモロく簡単にもげてしまいます。

このホルダー自体は補修部品として BESV JAPAN で入手することができますが(\500)、同じことが起きる恐れがあるため壊れたホルダーに金属製の「サイコン固定ネジ挿入部分」を追加して修理してみました。

新たに追加した部品はDIY店で探した長さ約50mm、幅約9mm、厚さ0.7mmの平板と、M2のネジ及びナットです。平板は2つに切断し、それぞれサイコン取付ネジ用の4mmΦの穴1つと、ホルダー固定ネジの2mmΦの2つの穴をドリルで開け、ヤスリでネジが通るよう少し広げます。この加工した金属片を少し曲げてホルダーにM2のネジで固定する穴を開け、塗装後スプリングワッシャーをカマセて固定します。


壊れたホルダー先端に付ける金属片(穴加工済み)     加工した金属片をホルダーにねじ止めする
                             修理後のホルダーで固定したサイコン 
以上のような修理を行ったホルダーでサイコンを固定しましたが、このようにサイコン固定部分を金属にすると、左右のねじれによる力に対してはオリジナルのものより強度を持たせることができると思います。

またサイコン本体の左右にある埋め込みナットですが、やや強い力でM4の取り付けビスを締め込むと、簡単にねじれて取れてしまいます。この取り付けビスは、オリジナルでは平ワッシャをカマせていますが、力が加わってもバッファとなるスプリングワッシャーに変えたほうが良いと思います。
ロードバイクやMTB用のアクセサリーは、走行中の振動に対して強度を持たせるため、その取付ホルダーはよく考えられているものが多く、また自転車本体のネジ締めと同程度のトルクを与えても、簡単には壊れないような強度があります(すぐ壊れるものは大体安価なモノ?)。

しかしこのJR1のサイコン周辺のネジとナットは、一般的なプラスチックの強度しかないようで、やや強いトルクをかけると壊れてしまいますので取り扱いには十分注意が必要です。

                                               TOPに戻る


〇ダウンチューブ下にツールボックス

最近のロードバイクには、シートチューブとダウンチューブにあるボトルケージに加え、ダウンチューブ下にもボトルケージが付けられるボルト穴が開いていますが、JR1 にも(よく見ないと気が付かないかもしれないが)あります。

                       ダウンチューブ下にあるボトルケージ用ボルト穴
このボルト穴を利用してボトルケージをそのまま取り付けることはできますが、ツールボックスをこれに入れると、前輪タイヤとのクリアランスが微妙となり、長さが短いツールボックスでもこれをそのまま使うには勇気が要ります。

この場合、ボトルケージを今の位置より下げて取り付けることで、タイヤとのクリアランスを確保することができる「ケージアダプター」が売られていますが、それ自体は大したモノでないので自作することにしました。

用意するものはDIY店で入手できる長さ150mm、幅20mm、厚さ1.4mmの金属製の平板です。
自作と言っても、この平板にM5のボルトが入る穴を3か所開け、塗装をかけるだけなのでスグ作ることができます。
開ける穴の間隔はボトルケージの穴の間隔(手持ちのモノは63mm)で、他にM5のボルトとスプリングワッシャー、ナットがいります。


DIY店で入手した平板に3個のM5ボルト穴を開ける    現状より63mmほど下げてケージを取付
注意する点はダウンチューブ下に開いているボルト穴の深さですが、一般的なボルト穴より浅く約8mm程度しかありません。従ってアダプタをダウンチューブに取り付ける一番上のボルトは、ワッシャーの厚さを含めると長さ8mm前後に、またその下(真ん中)のボルトはケージ+ワッシャーの厚さを含めて10mm前後が最適な長さになります。

このようにダウンチューブのボルト穴の深さが浅いので、各ボルトの長さは結構シビアなので購入には注意が必要です。なお一番下の穴はケージの固定なので長さ10mmのボルトをナットで受けますが、ナットがダウンチューブに接触するのでこれも注意しながら組み上げます。


自作したアダプタを使うことによって、写真のように長さ20cmの大型のツールボックスでも問題なく取り付けることができました。

このツールボックスは、多分市販されているものの中で一番大きいモノだと思いますが、入れる場所に困る携帯ポンプも入れることができるので助かります。

これにより今までパンク対応の部品・工具を入れていたサドルバッグが不要になり、サドルの後ろがスッキリになりました。

                                               TOPに戻る

バッテリー収納部の上蓋のピン脱落と修理

JR1のバッテリーはダウンチューブの中に格納されていますが、その蓋を止めているピンが脱落してしまいました。
理由はまったく分かりません。出発前にバッテリーをセットする時には何の問題も無かったのですが、帰ってきてバッテリーを外そうとしたところ蓋がうまく開かなくなり、ピンが脱落していることを発見しました。
 
通常はこの様に蓋止ピンをEリングで止めている  
メーカーに問いあわせてみた所「ピンはEリングで止めてあるのでそれが外れてしまったと思われる」とのことでしたが、修理にはダウンチューブ内に固定されているバッテリー収納部を取り出す必要があるとのことで、これは大変だと思いながら、その手順を教えてもらい、修理に挑戦することにしました。

バッテリー収納部の取外しには、底面にある「バッテリー台座フレーム」の固定ボルト6本、上部(ハンドル側)の「キーシリンダーユニット(キーでバッテリーを固定)」のビス2本、下部(クランク側)のバッテリーソケット固定ボルト3本を取り外していきます。

なお取外しに必要な工具ですが、バッテリー台座フレームとバッテリーソケットのボルトは星型 ヘックスローブレンチ(T20とT10)と六角レンチが必要です。
 ダウンチューブが地面と水平になるように傾ける  

底面の固定ボルトはまずゴムシールを取り除き、星型 ヘックスローブ T20で外しますが、最初はやや固く結構力が要ります。もしソケットレンチがない場合は、少し緩んだら後は溝幅が合うマイナスドライバーで回した方が効率が良いと思います。

上部の「キーシリンダーユニット」固定ボルトは六角レンチ、下部のバッテリーソケット固定ボルトは星型 ヘックスローブ T10で外しますが、各ボルトを外した時、ダウンチューブの傾斜により下に転がってソケットの下に入り込んでしまう危険性があります。

そこでできれば作業スタンドなどでバイクをダウンチューブが水平に近くなるように傾けて作業した方が良いと思います。
 
 取り出したバッテリー収納部              バッテリー収納部を除いたダウンチューブ
バッテリー収納部を取り外したらピンを挿してEリングをはめ込みます。このはめ込みには専用工具がありますが、大きめのラジオペンチで押し込むことでうまくいきました。

蓋の開閉がスムースに行くことを確認してダウンチューブ内に納め、取外しと逆の手順で取付けます。できてしまえば割合簡単に思えますが、バッテリー収納部を外すのに結構手間取ることと、途中で外したボルトがダウンチューブ内に転がってしまい数回取ったり付けたりを繰り返すハメになりました。

しかしこの蓋を止めているピンがなぜ外れたのか? その原因は復旧作業を行いながら考えても分かりませんでした。それはEリングを嵌めた後の状態では多少の振動では外れないように思えるからです。なので考えられる原因は最初からこのEリングのはめ込みが不完全だったのかな、としか思えませんが、このJR1は発表直後に購入したモデルなのでそのようなことがあったのかもしれません。

                                               TOPに戻る