ブルホーンバーへの換装
         ・ブルホーンバーへのススメ 
         ・ブルホーンバーへの換装方法        
         ・ブルホーンバーでのライディングスタイル 
         ・新しいライディングコンセプト「メトレア」
                     
○ブルホーンバーへのススメ

ロードバイクのシンボル(?)と言えばドロップハンドルですが、ドロップハンドルの下半分(下ハンと言う)が無い様なブルホーンと言うハンドルバーがあります。

このハンドルバーは右図のように牛の角のような形状で、本来はトライアスロンやタイムライアル(TT)競技用のものです。

一方このハンドルバーは、フラットハンドルの先に付けたバーエンドバーを伸ばし、先端を少し上に持ち上げた形状として、主にクロスバイクやミニベロ(小径車)のオシャレな改造にも用いられます。

しかしこのハンドルバーでのシフターやブレーキレバーは、ハンドルの先端に空気抵抗を考慮したエアロタイプのものが使われますが、その操作はドロップハンドルのブレーキ・ギアチェンジ複合レバー(シマノではSTIと呼称)よりスムースではありません。

そこでこのブルホーンバーに、ドロップハンドルについていたSTIをそのまま取付けることによる、操作的にもまた費用的にもリーズナブルなブルホーンバーの換装をしてみました。

このハンドル換装の主なメリットは、ブレーキレバーがハンドルの下にくることでレバーを握りやすくできることですが、さらにハンドルバーの広い範囲でレバーに指が届くため、ドロップハンドルよりハンドルを握ったままブレーキレバーを操作できる範囲が広がります(ドロップハンドルではブラケットか下ハンを握っているピンポイントだけ)。

ドロップハンドルでは、競技などの下ハンを握る場合以外では、右図のようにSTIの上の部分(ブラケット)を握ります。そしてブレーキレバーは人差し指と中指でレバーの中間付近を引くことになります。

しかしこの位置はレバーの支点近くであるため、テコの原理で力が入らない所を引くことになります。つまり本来下ハンを握った時にレバーの先端を引く構造になっているために、それ以外では止むを得ずこのような形になる、ということです。

この様なブレーキ操作は、特に手が小さかったり握力がない場合は非常に苦労します。また下り坂などでスピードを確実に落とすためには、レバーの先端を引くために慣れない下ハンを握る場面も生じます

このように高齢者やホビーユースなどで下ハンを握るシーンがほとんど無い場合には、ブレーキレバーの操作性が良いブルホーンバーも検討の価値があると思います。またスポーツサイクルに全く縁の無い子供や奥様方でも、このブレーキレバーはママチャリと同じ感触で握ることになるので、何の不安もなく乗ることができます(実証済み)

なおこの換装時には分からなかったのですが、後で輪行を始めた時にこのハンドルが非常に有効であることが分かりました。それはドロップハンドルの下ハンが無いので、車輪をフレームに添える時にハンドルが車輪に干渉しないことです。輪行を楽しんでいる方は一度検討してみてはいかがでしょうか?

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ブルホーンハンドルへの換装方法

カーボンフレーム・ロードバイクを、ブルホーンハンドルに換装してみました。





このブルホーンハンドルは幅400mm、リーチ140mmのカーボン製で、中央から少し下にベントして平面になる形状が、なかなかカッコ良く見えるハンドルです。また170gと軽量で、換装前のドロップハンドルが340gなので、なんと1/2の軽量化になりました。

このハンドルは常に手を置く部分がタイラな形状になっており、ウエットタイプのバーテープの柔らかさとも相まって、握った感触がとても良く、また手に来る衝撃もカーボンのおかげでだいぶ軽減されます。

一般的な円形のハンドルでは、手の平の付け根(手根部)の狭い部分がハンドルに接する状態になり、体重がその部分に集中するため、長時間の乗車で手根部が痛くなることがあります。「ロードバイクの教え」では腹筋を鍛えればそのようなことがないそうですが、トシヨリにはできない相談です。

このハンドルでは、バーの水平部分に手を置くため手の平にかかる体重が分散されこのような悩みが軽減されます。実際に今までの長距離のライドでも、手の平への痛みは全く経験していません。一方フツーのハンドルでは、手根部があたる部分にゲル状のクッションを巻きつけて凌いでいます。

換装作業は次の手順で行いますが、特に難しいところはありません。
 ・バーテープを剥がす
 ・ステムからドロップハンドルを取り外す
 ・ブルホーンハンドルをステムに取り付ける
 ・ドロップハンドルからSTIを取り外し、ブルホーンハンドルに取り付ける
 ・ブレーキワイヤーをハンドルに沿わせ(ここが一番難しい)、ビニールテープで仮固定する
 ・バーテープを巻いて終了(当然ですがバーテープはかなり余ります)
                           STIをそのまま取り付けた場合のワイヤー
この作業で一番難しく、良く指摘されるのがSTIから出るブレーキとシフトワイヤーの処理です。

このワイヤーは、ドロップハンドルに取り付けた時にハンドルに沿わせるように出ていますが、これをブルホーンの先端に取り付けると、右のように真上に出ることになりスムーズにハンドルに沿わせることは難しい、というものです。

ワイヤーを無理やり曲げてハンドルに沿わせると、曲がった部分の抵抗で引きが重くなる、というのがその理由です。
そのためこの部分に金属製のパイプを曲げて使うなどの工夫が見られますが、ここではそのまま曲げてテープで止めて見ました。
                           ワイヤーをそのままテープで巻きつける
この方法でも特にブレーキの引きが重くなることはもちろん、ギアチェンジレバーの引きも問題ありません。また何回か脱着を繰り返していますが、ワイヤーが痛んでいるような痕跡も見られないので問題は無いと思います。

バーテープの巻き始めはハンドルトップからですが、下ハンが無いので約1/3ほどが余ります。そのままカットしても良いのですが、往復で巻くと全体を覆うことになるので、巻く時のテープの重ねは無くても良いことになり、特にハンドルの曲りの部分を簡単に巻くことができます。
                        バーテープの処理で見た目も問題なく仕上がる
またハンドル中央でテープを戻していく部分をビニールテープなどで固定する必要がありません。最後のテープの固定はハンドルトップの下、つまりSTIカバーの下になりキレイに仕上がります。

なおワイヤーを曲げた部分がやや膨らみますが、右図のようにバーテープをうまく重ねて巻くことで、見た目ではワイヤーがハンドルからはみ出ているような厚みもなく、ドロップハンドルと同様な感じに仕上げることができます。

またロードバイクにバックミラーを付けない人は多いのですが、一般道の走行以外でも、サイクリング道路で歩行者を追い越そうと右側に出る場合などは、後方安全確認のためバックミラーが必要だと思います。

ドロップハンドルにバックミラーを付ける場合は、ほとんどバーエンド(下ハンの先端)ですが、この位置はミラーを見るために下に顔を動かすことと、ミラーに映る像も小さくなり良く見えません。これ対してブルホーンバーではバーエンドが高い位置にあるため、ここにミラーを付けると、前方を見ながらチラッと目を移すだけで後方確認ができます。

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○ブルホーンハンドルバーでのライディングスタイル

ブルホーンハンドルバーにすると、右のように自然にブラケットより手前の位置を握るようになります。ここはドロップハンドルではリラックスポジションになる位置だと思いますが、このためライディングスタイルは少しアップライトの姿勢になります。

しかしこの状態で、向い風がキツイ時や坂などで頑張る時は、そのまま手をブラケットまで伸ばすと前傾姿勢をキツクすることができます。

またその場合でも、ブレーキレバーをそのまま握ることで、容易にブレーキ操作ができます。
このライディングスタイルにはいろいろなメリットがあります。

高齢者になると「ロードバイクの教え」に沿った乗車姿勢をとるのが大変だったり、また無理をして体を痛める場合が少なからずあります。例として知人の一人に「ロードバイクに乗るようになってから首が痛くなった」という人がいました。そのためステムを交換したりしていましたが、あまり改善しませんでした。

そこでこのブルホーンバーをススメたところ、ワイヤーをハンドルに沿わせることを省略することで、あっという間に換装してしまい、それ以来首の痛みは感じなくなったそうです。またその影響で走りそのものが楽になり、一時は首の痛さからロードバイクは止めようか、と言っていたのでこの換装が非常に効果的になりました。

                        新しいライディングコンセプト「メトレア」
またこのようなライディングスタイルについて興味深いハナシがあります。

2016年にロードバイクとクロスバイクとの間をコンセプトとするメトレアというコンポーネントがシマノから発表されました。

これは右の図で赤色のスタイルで示されており、乗車姿勢が左のクロスバイクと右のロードバイクの間に来ることを表現しています。

これはロードバイクほどストイックにならずに、でもクロスバイクよりはスポーティに、というコトではないかと解釈していますが、このコンセプトはブルホーンハンドルによるライディングスタイルと重なり、個人的には高齢者にピッタリではないかと考えています。

なおメトレアにはフラットハンドルの他にブルホーンハンドルが用意され、またそれ専用のSTI(結構高い!)も開発されており、我が意を得たりとひそかに思っています。
(しかしこのメトレアを採用する完成車があまり見当たらず、現状では普及していない模様です)

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